ハリルホジッチ監督体制が上手くいかなかった一方で、日本人の西野努監督が好成績を収めた事を受け、2017年7月に森保一氏がサッカー日本代表監督に就任しました。W杯またはW杯予選終了後の日本代表監督に日本人が起用されたのは約30年ぶりの出来事になります。
なお、森保監督はA代表監督だけを務めているわけではなく、それ以前から2020年の東京五輪を戦う五輪代表を指揮してきた人物です。そのため、五輪代表を指揮する中で確実にA代表で通用するといえる選手がいたら、東京五輪後にA代表に呼んでうまく世代交代を図ってくれる事に期待です。また、サッカーの世界では選手はクラブチームはある程度自由に移籍を出来る一方、別の国の代表チームに移籍する事はできないという側面があります。そんな中、ハリルホジッチやP・トルシエのように、優位な立場を活かして選手に対して強気な立場をとったりして選手との信頼関係にヒビが入った人が存在してきました。しかし、森保氏は人望が厚く、五輪代表監督でも決して強気な立場をとることなく選手の信頼を集めてきた事で知られます。そのため、クラブチームとは違って代表チームにおいては明確に監督の立場が優位になるものの、選手の権利やプライドを大事にした指導を行ってくれる事にも期待大です。
また、広島時代には2011年までミハイロ・ペトロビッチ監督のもとでコーチとして長く働いていました。2012年からは前監督のサッカーを踏襲したサッカーで3回のリーグ優勝を達成した経歴をもちます。そして、2018年のW杯でもコーチとしてチームに帯同していたため、西野体制の良い部分を踏襲しながら代表をうまく進化させてくれる事も強く期待されています。
サッカーW杯での日本代表の激闘に心を燃え上がらせた方は多いでしょう。そしてその後の長谷部選手の引退宣言に驚いた方も、また。
日本代表のキャプテンである彼は、自身のインスタグラムで引退宣言をしました。そこにはキャプテンを務めた八年間のこと、応援してくれた方々、そして共に戦ったチームメイトへの感謝があります。さらに最後の一文にはこうありました。「これからは自分も日本代表のサポーターです。一緒に夢を見ていきましょう」、と。現役を退くことになろうともこれで戦いが終わったわけではない、これからも共に戦い続けるのだ、そんな意志が感じられる一文ですね。
名は体を表すと言いますが長谷部選手の名前は「誠」、まさに実直で真面目な彼を表す名であり、そんな長谷部選手だからこそ八年間日本代表のキャプテンマークを着けることを許されたのでしょう。また彼は「心を整える。」というタイトルの本を出版しており、それはサッカーの技術や自身の経験を綴ったものではありません。私たちの生活の中にも関わってくる、精神的な心構えのアドバイスが書かれたものです。サッカー選手でも一般人でも大元の心は同じ、そしてそれはなにより重要なものであると長谷部選手は思っていたのでしょう。
そう考えると、土俵の違う彼ら代表選手も身近な存在のようにも思えてきませんか。彼らの激闘を自分たちの心の糧として強く生きていく。それが私たちにできる、長谷部選手への引退プレゼントかもしれません。もし日々を生きていて挫けそうになったときは、あの侍のような顔つきをした選手を思い出すのはどうでしょう。キャプテンマークが「負けるな!」と言ってくれているような気がするのではないでしょうか。